■第8回(2008.12)■
「 NOSS(ノス)」
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最新で伝統的な和のフィットネスプログラム「NOSS(ノス)」
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◇PART1◇
日本舞踊とフィットネスが融合し、日本人の心を呼び覚ますプログラムが誕生!
日本(人)が開発したプログラムをご紹介する「ジャパニーズフィットネス」。
第 8 回は、日本発の最新で伝統的な和のフィットネスプログラム「NOSS(ノス)」をご紹介。考案者のひとりである日本舞踊の西川流三世家元・西川右近氏の長男で、NOSS(ノス)認定コースの講師もされている日本舞踊西川流師範 西川千雅さんにお話を伺いました。
NOSS(ノス:日本踊りスポーツサイエンス)とは
G(編集G):まず、NOSS(ノス)とはどんなものか教えていただけますか?
N(西川千雅さん):NOSS(ノス)の頭文字は日本・おどり・スポーツ・サイエンスの略です。NOSSは、「おどりを使って、筋力の衰えを少しでも防ごう」という目的で、日本舞踊の西川流三世家元・西川右近と中京大学体育学部長・湯浅景元教授との合同研究によって考案された踊りです。
▽「西川流」ついて詳細はこちらをご覧下さい。
http://www.nishikawa-ryu.com/
G:これまで、様々なダンスとフィットネス融合がありましたが、日本舞踊はなかったですね。ちょっと意外でした。
NOSSが生まれるきっかけ
G:このプログラムはお父様である西川流三世家元・西川右近氏が考案者の一人だそうですが、どんなきかっけで開発するに至ったのでしょうか?
N:実はきっかけとなったのは、父が心臓のバイパス手術を受け、3ヶ月間入院したことなのです。3ヶ月間も入院していると、さすがに毎日踊りを欠かさず行っていた父も退院してから復帰にどれくらい時間がかかるのか少し心配だったのですが・・・、稽古をしているうちにすんなり回復していきました。そこで、この踊り自体が健康にいいのではないかと思い、体育の専門である湯浅元教授にお話をしたことから、データ計測などが始まりました。
G :よく身体を壊したりしたときに、健康のありがたみを知るということはありますが・・・。右近さんの場合は、健康な時は当たり前にずっと踊っていらした「踊り」を違う視点からとらえ、健康効果に注目されたのですね。とても発想が豊かな方だとお話を聞いていて感じました。
N:そうですね。右近もそうですが、西川流という流派自体が好奇心旺盛な流派といいましょうか、新しいことを取り入れることや、様々な分野の方とのコラボレーションも大切にしています。それは、日本舞踊は、特別な踊りではなく、もともとは大衆の踊りですので、日本舞踊に触れる機会がいろいろな形であると良いのではないかとの思いがあるからです。
G:そういう意味でもNOSSは気軽に日本舞踊を楽しむ入り口になりそうですね。データ計測からプログラム確立、そして認定講習会開催まで試行錯誤が続いたと思いますが・・・。
プログラムができるまで
N:テータは、全ての踊りの筋電図・消費エネルギーなどを計測しまして、ウォーキングよりも運動量があること、心臓・血管に大きな負担をかけないでエネルギーを消費できること、がわかりました。日常生活に必要な筋力を、日舞の動きで鍛えられるということがわかり、TVなどでも多く取り上げられ、これは形にして多くの方にお試しいただくのがいいのではないかと、まずオリジナル曲をつくりました。
G:オリジナル曲!最初に曲の製作からされたのには理由があるのですか?
N:日舞は、on beatで踊るものではないですので、曲全体のイメージがとても大事になってきます。また、スローで流れのある聞いた人が癒されるような曲で踊ったほうが、さらに運動の効果も心地よさも高まるのではないかということで、オリジナルの曲を作りました。
G:確かに、動きがしなやかなだけに曲はとても重要ですね。オリジナル曲「この冬(とき)がすぎれば」は、歌詞を西川右近さんが、作曲を二胡奏者のジャー・パンファンさん(「もののけ姫」演奏、映画「LOVERS」作曲)が担当されていますが、評判はどうですか?
N:やはり、二胡の音色が心地よいし、おしとやかな気分になれるとの感想を頂いています。歌詞は「この冬が過ぎるとまた春が来る・・・」というところが、特にご年配の方にご共感頂いているようです。
フィットネスとの融合で広める
G:そして、1つのプログラムの形が出来上がってから、フィットネスと融合をされていくわけですね。
N:はい。プログラムを作るところまではたどり着いたのですが、それを体験できる場を増やしたり、どなたにもわかりやすくお伝えしていったりするにはどうしたらよいかと思いまして、面識のあった(株)スパイラルの名倉さんにご相談し、理事をされている日本フィットネス協会(JAFA)さんにお話をしてくださいました。そこから、何人かのインストラクターの方に当時のNOSSを体験していただいてご意見も伺っていきました。
G:フィットネスインストラクターの最初の反応はどうでしたか?
N:最初の反応は、「音が静かでノリが悪い」ですね(笑)。エアロビクスとはまったく異なりますから当然だと思います。
G:それにしても正直な感想ですね。
N:しかし、そこからがインストラクターの皆さんのすごいところというか、どんどんアイデアやご意見をだして下さるのです。ほんとうにビックリしました。
G:では、そのあたりを後半はじっくり伺っていきます。
次回は、フィットネスとの融合がもたらしたもの、NOSSの現状・受講者の声、これからの展望についてなど伺います。
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